実家の鍵を開ける。
親が暮らしていた家へ、一人で入る。
そんな経験は、多くの人にとって初めてのことではないでしょうか。
思い出がよみがえる一方で、「何から確認すればいいのだろう」という不安もあるはずです。
実家を相続することになったからといって、この日に売却や解体を決める必要はありません。
最初の目的は、実家の現状を正しく把握することです。
家の状態を知ることが、これからの判断の土台になります。
まずは家の外を一周してみる
最初に確認したいのは建物の外側です。
屋根に大きな破損はないか。
外壁にひび割れはないか。
雨どいが外れていないか。
庭木や雑草が伸び放題になっていないか。
敷地の境界まで草木が伸びている場合は、近隣へ迷惑を掛けている可能性もあります。
慌てて修理を依頼する必要はありませんが、「どこが傷んでいるのか」を確認しておくことが大切です。
その際は、スマートフォンで写真を撮っておくことをおすすめします。
後から家族や他の相続人と状況を共有するときにも役立ちますし、数か月後に状態が悪化していないか比較する資料にもなります。
郵便受けも忘れずに確認する
郵便受けには、意外と多くの情報があります。
郵便物が大量にたまっていれば、長期間管理されていない家という印象を与えてしまいます。
一方で、その中には固定資産税の納税通知書や金融機関からの重要な書類が届いている場合もあります。
チラシだけだと思って処分せず、一通ずつ確認するようにしましょう。
郵便物から、親がどのような契約をしていたのか分かることも少なくありません。
家の中は「異常がないか」を見る
家の中では、まず生活用品ではなく建物の状態に目を向けます。
雨漏りの跡はないか。
天井や壁にシミはないか。
床が沈んだり、傷んだりしていないか。
カビや異臭はないか。
水道から水は出るか。
人が住まなくなると、住宅は思っている以上に早く傷み始めます。
特に湿気の多い地域では、換気されないことでカビが発生しやすくなります。
今すぐ修理する必要があるかどうかではなく、「どのような状態なのか」を確認することが大切です。
家財道具は急いで処分しない
部屋を見ると、「早く片付けなければ」と思うかもしれません。
しかし、最初は家財道具をそのまま残しておくことをおすすめします。
通帳や権利証、保険証券、遺言書など、大切な書類が見つかることがあります。
また、相続人同士で話し合いが終わる前に家財を処分すると、「勝手に処分した」と誤解を招き、思わぬトラブルになることもあります。
まずは何が残されているのかを確認し、写真を撮るなどして記録を残しておくと安心です。
ご近所へのあいさつも大切
時間に余裕があれば、近所へ簡単なあいさつをしておくとよいでしょう。
長年親と付き合いのあった近隣の方は、
「屋根が少し傷んでいますよ。」
「この前の台風で庭木が倒れかけていました。」
など、家族でも知らなかった情報を教えてくれることがあります。
また、「今後は子どもが管理する予定です」と一言伝えるだけでも、近所の方に安心してもらえるでしょう。
最初の日は「判断する日」ではない
実家を見た瞬間、
「もう古いから解体しよう。」
あるいは、
「思い出があるから残そう。」
そんな気持ちになるかもしれません。
しかし、その日のうちに結論を出す必要はありません。
家の状態だけでなく、名義や相続人、維持費、将来の活用方法など、確認すべきことはまだたくさんあります。
実家の相続は、「知らないこと」が不安の原因になります。
しかし、一つずつ確認していけば、慌てる必要はありません。
最初の一日は、判断する日ではなく、現状を知る日です。
それだけ覚えておけば十分でしょう。
次回予告
次回は、「実家の名義を確認する」について解説します。
実家が親名義だと思っていたら、実は祖父母名義のままだった――。
そんなケースも決して珍しくありません。
相続手続きを進める前に確認しておきたい「名義」の重要性について見ていきます。

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